転校生が教室に入って来るや、クラスの中に張りつめていた高揚感は、音もなくしぼんでしまった。教壇に立った彼女の外見が、あまりにもえなかったからである。
 ほっそりとした顔にはハリがなく、頬骨ほおぼねが出ていて、唇も薄い。肩に乗っている黒髪は、振り乱しているというほどでもないが、といって、つややかに整えられているというわけでもない。身体からだつきは痩せ形で頼りなく、全身が青白く見える。
 見ようによっては神秘的だと言えなくもないが、誰もが心かれるような、澄んだ輝きを思わせるには無理があった。
那須多なすだ弓絵ゆみえと言います。よろしくお願いします」
 味気のない声で彼女は挨拶した。可もなく不可もなく、といった感じの、ちょうどいい大きさの声で、取り立てて特徴のあるものでもなかった。
 わずかに残されていた希望もはかなく立ち消え、室内には、後味の悪い白けた空気が漂った。
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